陶器の景色は、時に宇宙を連想させる。
釉薬の流れや貫入、斑点、ひび割れといった現象は、
まるで夜空を彩る星雲や遠い惑星の地表のようだ。
器を焼成する窯の内部では
酸化・還元・蒸発・融解・結晶化など、
星が形成される過程にも似た化学反応が絶え間なく起きている。
陶器の原料となる陶土の主成分は
ケイ素やアルミニウム、鉄などの元素であるが、
これらは遥か昔に
恒星の核融合や超新星爆発の過程で生まれたものだ。
私たちが暮らしている地球の大地も、
宇宙の破片が凝縮して形作られた惑星の皮膚であり、
その土には数千万年という途方もない時間が折り重なっている。
陶芸とは、宇宙の記憶を人の手で練り直し
人間の生活に即して新たな命を吹き込む作業であり、
陶器は、宇宙と人類を繋ぐ接続詞なのだと思う。
陶器が宇宙の時空と人智の結晶であるならば、
珈琲は人類の文化や歴史の濃縮液と言えるだろう。
珈琲は国境を越えて巨大な経済圏や文化圏を形成し
世界の共通言語として人々を繋いできた。
しかしその一方で、
戦争、貧困、奴隷労働、人種差別、環境破壊など
人類史の苦味が凝縮した飲み物でもある。
そのような濃密なエスプレッソを、
地球という丸い器は静かに受け容れてきた。
しかし、この小さな容器にも限界がある。
見て見ぬふりをしていればいつか溢れ返り、
乱暴に扱えばいとも容易く割れてしまう。
小さな惑星に注がれたエスプレッソは決して甘くない。
それでもスターバックスのトリプルエスプレッソラテは美味しい。
個人的には豆乳かオーツミルク変更が好きです◎

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